槍ヶ岳をキャンセルして仙丈ケ岳に変更
ここ3年間、お盆休みはほとんど晴れ。そんなこともあって、ゴールデンウィーク明けに中房温泉から燕山荘、槍ヶ岳に至る表参道ルートを予約したけど、大雨となりました。
心のどこかで今年も晴れるだろうと思って、10日前から天気予報をリロードをし続けたけど、一向に曇り予報が晴れない。どころか、雨マークまで出始める。天気予報のはしごして、どうにもこうにも雨は免れないと納得したのが4日前。キャンセル料13,000円を払って、表参道2泊3日、往路の夜行バス付きの予約を取り消しました。
元々44,000円で、8日以上前までのキャンセルならキャンセル料がかからなかったようだけど、ギリギリまで引っ張った結果、30%のキャンセル料となりました。ハイシーズンの山小屋は毎年2~3000円くらいずつ値上がりしています。それでも採算は厳しいらしく、1年で一番の書き入れ時のお盆休みの前半が天候不良で益々経営が厳しくなりそう。富裕層しか山小屋に止まれない、なんてことにならないように山小屋にはある程度儲かって欲しいです。ロックバンドはTシャツが重要な収入源になっているらしく、山小屋もグッズ販売で儲けるしかないのか。
今年の盆休みは山なしかな、と思い始めていた頃、習慣で天気予報を見ていると後半は長野、山梨の天気が回復傾向にあるらしい。でも、足がない、と思っていたらまいたびの予約がまだ空いているらしい。
となると次はどこへ行くかだ。山から降りた後に1、2日は筋肉痛の身体を休めたい。日帰りで行けて、高度感がある山というと木曽駒ケ岳が候補にあがってくる。メインで行くにはもの足りないが、一度は行ってみたかったし、ちょうどいいかもしれない。木曽駒ケ岳は、まいたびの夜行バスで片道14000円、往復17500円。ここにも物価高の波が押し寄せてきているわけだが、車なしの身分としては他に良い選択肢もない。申し込もうと思ったら戸台パークという降り口がある。調べて見ると、仙丈ケ岳、甲斐駒ヶ岳の登山口の北沢峠に行くらしい。木曽駒ケ岳はロープウェイが混んでいる印象だったので、急遽、仙丈ケ岳に変更して申し込み完了。帰りは電車を乗り継いで帰るのが好きだけど、どうも乗り換えが多そうだったので往復17500円に決定。
竹橋(23:00)
都庁前からバスが出ているとありがたいんだけど、今回のバスは竹橋の毎日新聞社前からと八王子停留所のみ。23時発のバスに合わせて家を出たつもりが、1時間早い予定で出てしまう。遅いよりは良いんだけど、この暑い夜に冷房なしで1時間も待つのはきつい。一度家を出た時には水筒替わりの500mlペットボトルも忘れたし、いつかこんなにポンコツになってしまったのか。この時のもう一つの忘れ物に気づくのはもう少し先の話です。
パレスビルの中には30人くらいバス待ちの人がいました。ありがたいことに冷房も効いている。先に北アルプス行きが出て、木曽駒ケ岳、仙丈ケ岳行きのバスはその後になるようです。
ネックピロー、耳栓、アイマスクの登山バス三種の神器を持って社内の乗り込むと空席がかなり目立つ。だいたい半分くらいしか埋まっていないわりに、座席は詰まっていて隣に人がいるようだ。出発前に八王子を過ぎたら空いている座席に移動して良いと確認した。快適に移動できそうだ。
2年前の西穂高行きで利用した際は、なぜか満員にも関わらず、出発からすぐに眠れて熟睡して到着できた。今回の方が空いているのになかなか眠れない。高速を乗ったらしい後もしばらく眠れなかったので、今回は眠れないことを覚悟してひたすら目を閉じて呼吸に集中する。それでも3、4時間は眠れたんじゃないかと思う。
戸台パーク(5:00)
アナウンスと社内点灯で目が覚める。慌てて靴下と靴を履き、荷物をまとめて降車に備える。
到着した戸台パークは、登山客達がすでにいくつかの行列を作っている。とりあえず、バス停に行ってみるといくつかの行先があって、それごとに並んでいるらしい。北沢峠行きの列にはすでにザックが50個くらいは並んでいる。1台のバスでは絶対に乗り切らないと思うけど、たぶん複数台のバスで運航するんだろう。敷地の端には東京の路線バスより2周りは小さいマイクロバスがいくつか並んでいる。

バス停待ちに荷物をおいて、トイレから出てみると、バス停以外の行列にも気づいた。こちらはまだ閉まっている建物に続いている。行列の先頭まで行くと、「バスチケット売り場5:30~」と看板が出ている。こっちの行列に先に並ばないといけないらしい。バス停の列にはザックだけ置いていて、みんなこちらに並んでいるらしい。50人ぐらいの行列の最後尾に付く。
看板よりも10分早く、5:20にバスチケットの販売が始まると瞬く間に行列が消化されていく。行列の先の建物の中には自動券売機が5台ほど並んでいる。現金のみの販売機のもあれば、クレジットカード、paypayで払えるものもあるらしい。現金で往復チケットを購入して、ザックを置いたバス停の行列の戻る。
6:00になると5~6台のバスが一斉にバス停に回ってきた。平地のバスよりも一回り、二回り小さい。5~6台のバスのうち、1つだけ明らかに世代が古いバスが混じっていて、それに乗ることになった。座席は2列、1列で補助席を出すと列になる。全員、膝の上にザックを載せて、乗り込む。
しばらく川沿いの道を走った後、つづら折りに山を登っていく。昭和の時代に開通し、現在は自家用車の通行は禁止、バスなどしか通れなくなっているらしいことが車中アナウンスされる。道は車1台が通れるほどだ。窓から崖沿いを覗くと高度感でちょっとした恐怖を感じるほどだ。
北沢峠(7:00)
1時間半バスに揺られて北沢峠に到着。甲斐駒ヶ岳と仙丈ケ岳の二つの登山口があり、それぞれ別方向に登っていく。看板を見ると、甲斐駒ヶ岳の向こう側に黒戸山とあるので、急登で有名な黒戸尾根は反対側らしい。靴ひもを締め直し、帽子をかぶって出発、と思ったら帽子がない。荷物を全部出してもない。どうやら、家においてきたらしい。山行のためだけに買った帽子をほとんど年1回の登山に忘れてくるとは。

浅い溜息をついて、仙丈ケ岳の登山口から登り始める。それにしても登山客が多い。今までの山行で一番登山客が多いかもしれない。中にはスニーカーにシャツ、ナップザック(肩ひも!)の若者もいたが、さすが若者。終始、先行される。若者が休憩が多い分、抜きつ抜かれつほとんど同じペースで山頂まで行くことになる。
少し登ったところで、ヤマレコがルートを外れていることを伝えてくる。登山口から二股に分かれていて、設定したルートと違う道を進んでいるらしい。2合目あたりで合流するし、分かれ道にも気づかなかったので、そのまま林道を進むことにする。最初にうちはかなり歩きやすい道でぐんぐん進む。
大滝頭(8:20)
一度も休憩せずに、大滝頭に到着。ここで、馬の背と小仙丈ケ岳に分かれる分岐がある。日帰りの場合、登りは小仙丈ケ岳から回るのが定番らしい。夏の午後は雲が増えてくるので、雲が少ない早い時間のうちに、小仙丈ケ岳の尾根に出ると南アルプス、富士山などの眺望が望めるのが理由らしい。という訳で多くの人の後をついて、小仙丈ケ岳方面へ。ここから登りが多少きつくなってくる。

大滝頭から20分ほどで眺望が開けてくる。ハイマツの稜線の先には小仙丈ケ岳。振り返れば甲斐駒ヶ岳。最高である。


小仙丈ケ岳(9:20)
登り始めてから2時間半でこんな景色が見えて良いのだろうか。仙丈ケ岳は初めての高山登山にも非常におすすめである。小仙丈ケ岳からは、富士山、北岳、間ノ岳の日本1,2,3が画角に収められる。そして、非常に美しいカールを抱える仙丈ケ岳。仙丈ケ岳のカールって反対側じゃないのか?と思いつつ、この日初めてザックと腰を降ろして休憩する。

小仙丈ケ岳から仙丈ケ岳までの稜線は歩きやすくて楽しい。途中で、雷鳥が登山道のすぐ近くに出てきた。毎回思いが、警戒心のない鳥である。高山で捕食者がいないのはわかるが、人間をここまで無視するのはどういうことなんだろう。

仙丈ケ岳(10:30)

小仙丈ケ岳から1時間。仙丈ケ岳山頂に着いた。振り返るとこれまで歩いてきた稜線が伸びている。そして、小仙丈ケ岳から見たカールとは別のカールが眼下に広がる。カールの裾には千丈小屋が見える。

ザックを降ろして、東京の夜中のコンビニで買ったおにぎりの残りを食べる。おにぎりが100円で買えたのも昔の話だ。
30分休憩した後でも、大仙丈ケ岳と書かれたもう一つのピークに行く気にはなれなかった。コースタイムで40分ほどだ。往復で1時間。

千丈小屋(11:20)
写真の時間を見ると20分で山頂から下りてきたことになる。下りは楽だなーとは思っていたが、こんなに早かったとは。千丈小屋をちょっと覗いてみたけど、お土産の類は見当たらなかった。少し前からシールを買うのが定番になっていたので、あれば欲しかったけど残念。千丈小屋から少し降りると水場があって、水をつけると冷たかった。ドラム缶から溢れた水が川を作っていた。仙丈ケ岳の馬ノ背側のルートは水場が豊富で、水には困らないらしい。

さて、戸台パークから新宿までのバスが16時発である。一方北沢峠から、戸台パークのバスは13:10発、13:55着。そのあとは15:00発、15:45着である。15:45に着くとさすがに風呂は入れない。とはいえ、13:10まで2時間弱しかない。さすがに間に合わないだろうと思っていたら、前を歩いていた数人グループが「あと、2時間くらいか?2時間はきついか?」との声が。えっ、急げば2時間で下りられるのか?13:10を狙って行けるところまで行こう、ということでペースアップする。
馬ノ背ヒュッテ(12:00)
自分なりにペースアップしてきたが、13:10に北沢峠に着きそうもない。風呂なしで新宿まで行く覚悟を決める。まあ、行きのバスは空いてたし、帰りがそれ以上になることはないから、別にいいか。馬ノ背ヒュッテのベンチに座らせてもらって小休止。ここも水がじゃんじゃか流れていて、顔を洗わせてもらう。
その後、沢を渡って下りて行く道はなだらかでひたすら歩きやすい。

藪沢小屋(12:25)
藪沢小屋は山小屋というより、避難小屋の位置づけかもしれない。人の気配はなかった。
その後、大滝頭で登りの道と合流。2合目まで下りると、分岐の道があった。これが、登りの時には気づかなった道かもしれない。看板にも北沢峠と書いてる。登りの時はあっという間に着いた気がするが、下りはそれより時間がかかっている気がする。さすがに疲れてきたから、そのせいだろうか?
しばらく下ったところで木の看板が下がっていたが、字は消えて読めなかった。下る道と水平に移動する道に分かれている。下りの方が人が多いので、まあ下るかと思ってしばらくすると、再びヤマレコの警告が。ルートを見てみると、このまま行くと長衛小屋に下りるらしい。下った道を登り返す気になれず、そのまま下りる。今になって振り返ってみると、看板が読めなかった分岐で地図を確認しておくべきだなと思う。
長衛小屋に下りると車が通れる砂利道に出た。北沢峠は体感300mくらい砂利道を歩くとたどり着いた。
北沢峠(14:00)
目標の13:10から遅れること50分。北沢峠に帰ってきた。北沢峠の山荘に風呂がないかと覗いてみたが、残念ながらなかった。その代わりに仙丈ケ岳のステッカーが売ってたので、1枚購入する。
バス乗り場らしき場所に戻るとすでに行列ができているらしい。ベンチに番号が振ってある。どうせバスは15:00まで来ないだろうから、ザックを置いて着替えを済ませる。着替えから戻るとバスが来ている。どうも、出発するらしい。慌ててザックまで戻って着替えを押し込む。14:30くらいにバスが出発する。
このまま行くと15:30頃に着くんじゃないか?30分あれば風呂入れるぞ。諦めた風呂でさっぱりしてから新宿に帰る希望が戻ってくる。調べた時刻表が間違っていたかどうかはこの際、置いておこう。15:30までに着いたら風呂直行。15:40はちょっときついな、ということを延々と考えながら満員のバスに揺られていた。
戸台パーク(15:20)
結局、戸台パークに15:20に到着する。帰りのバスは補助いすだったので、すぐにバスから降り、風呂に直行する。800円の入浴料を払って風呂で汗を流す至福の時間を得た。
新宿(21:00)
帰りのバスはやっぱり空いていた。お盆のUターンラッシュに巻き込まれて到着が遅くなりそうだ、談合坂の手前でアナウンスがあったが、結局ほとんど予定通りの時間に到着した。今年の山行のお供として選んだ、オービタル・クラウドがちょうど面白くなってきたところだった。
最寄りのスーパーでアイスを買って帰宅。
日帰りで3,000mに登れて大満足である。
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