山小屋の存続を考える

山小屋の経営が厳しいそうです。

登山道が消える!? 北アルプス登山に危機

山小屋に関わらず、宿泊・飲食・旅行関連業界はコロナ禍で大打撃を被っています。登山が好きなので、個人的に山小屋がなくなると非常に困ります。現代に合わせた持続可能な山小屋の運営というのはどうなんでしょうか。

記事には実質的に山小屋が登山道を整備しており、その整備が山小屋の自主的な負担で成り立っているとありました。登山道が整備されていなければ山小屋に訪れる人がいなくなるから、自主的な整備が始まったのでしょう。

アダム・スミスの市場原理から言えば、山小屋が登山道を自主的に整備するのは自然の成り行きだったのかもしれません。しかし、コロナ禍という環境の激変によってルールが変わってしまいました。加えて、人口増加から停滞、やがて人口減少に進んでいく社会のなかで、登山道整備のやり方を変えていかないと立ち行かかなくなるのでしょう。

繁閑の波を平準化する

山小屋は夏のハイシーズン、特にお盆休みや土日に利用が集中し、繁閑の波が激しいです。そのため、お盆休みには泊まりたかった人の予約を断らなければならない一方で、シーズンの始めと終わりには平日には閑古鳥が鳴いているという傾向にあります。

私も燕岳から槍ヶ岳まで表銀座を縦走しようと思っていましたが、2泊3日のスケジュールを確保できる日は予約が一杯で断念しました。散々考えたのに…

ホテル、温泉宿のようにシーズンに合わせて価格を変える取り組みはできそうです。天気予報や予約状況に合わせて価格を変動させるダイナミックプライシングとも相性が良さそうです。

山小屋は小規模な事業体が多く、予約受付管理のデジタル化があまり進んでいないように思います。予約管理やダイナミックプライシングが低価格で利用できるようになったら、普及するかもしれません。YAMAPや登山関係のメディアでは、宿泊予約のポータルサイト事業を検討したことは1回や2回じゃないでしょうし、ぜひ実現させて欲しいです。私が知らないだけで既にあるのかもしれませんが。

ダイナミックプライシングには、需要が高くなると値段が高騰するという側面がありますが、個人的には仕方ないかなと思います。資本主義経済では、市場原理で価格が決定します。売りたい人と買いたい人の価格が一致した地点が相場であり、技術の進展でより多くの情報を基に、より頻繁に価格変動が起きるのは自然な流れです。特にハイシーズンの山小屋やコンサートなど、数が希少で嗜好品の部類に含まれるものです。

ダイナミックプライシングは今のところ、航空会社のマイレージプログラムほどには成功していないように思いますが、近い将来には天気予報によって価格が変わるのは普通のことになるかもしれません。

価格の問題、山小屋の通信環境、人材の問題や市場の狭さ、天気予報の精度など大変なことはいくらでもあるでしょうが、win win win の仕組みが成功して欲しいです。

物販の強化

最近の山小屋はオリジナルグッズが充実してきました。昔は泊まって、ご飯が出るだけというイメージがありましたが、最近はスイーツまで食べられますし、小屋もトイレもずいぶんキレイになりましいた。バイオトイレも普及して欲しいです(1回の利用料が500円だったら、どのくらいで元が取れるんだろうか?)

グローバルな調達もやりやすくなり、オリジナルグッズを作るのも安くなったんでしょう。デザインも、クラウドワーカーに直接頼むことで安く、質が高くなっているのかもしれません。

ただ、販売するには山小屋まで来てもらう必要があります。そのため、売上の天井は早めに来てしまいそうです。

ネット通販も技術敵に可能なんでしょうが、どこからでも誰でも変える山小屋のTシャツをわざわざ買いたいとは思いません。一世を風靡した生キャラメルがどこでも買えるようになった途端、売れなくなったのと同じように、このようなことは枚挙に暇がありません。

ふるさと納税

ふるさと納税の仕組みも山小屋と相性が良さそうです。

ふるさと納税のポータルサイトで「山小屋」を検索すると、数十件ヒットします。その多くの場合、返礼品は山小屋の宿泊券でした。山小屋のある市区町村の収入になり、返礼品の調達として山小屋にもお金が落ちる。その対価は国や大都市の税収減ということになるのでしょうが、規模が大きいんで、そっちはそっちでなんとかするんでしょう。

しかし、返礼品が宿泊券だと結局のところ繁閑の差という壁にぶつかります。

冒頭の記事でも、宿泊費で登山道の整備が難しくなってきたので、入山料の徴収はどうか?という話が出ていました。

私が知っている限りでは、富士山が寄付という形で入山料を取っていると思いますが、多くの山で同じようにするのは大変です。

数年前、混雑を避けるため深夜2時という中途半端な時間に吉田口から富士山を登ったことがありますが、登山口近くの小屋から人が出てきて、入山料の話をされました。当時どこで払うんだろうと思っていたので、お金を払ってバッジをもらいました。富士山のように登山者が多く、登山口の設備が充実していればいいですが、その他の山ですべての登山道に人を配置するのは無理があります。

そこで、ふるさと納税で入山料をとる仕組みを作れないでしょうか。厳密な意味では入山料ではなく、ふるさと納税の返礼品として記念品交換チケットがもらえるという形です。宿泊せず、通り過ぎるだけの人でもふるさと納税をすることができます。ハイシーズンには貴重な宿泊在庫を使わなくて済みます。

記念品交換券のデザインは統一しましょう。市区町村ごとに利用できる山小屋名を印刷して、返礼品として郵送します。プラスチックは利用したくないので、財布に収まるキャッシュカードと同じサイズの耐水紙に印刷します。有効期間は5年間。そのうち、返礼品限定のオリジナルグッズを山小屋で作ってもらえたらいいですね。

ふるさと納税は市区町村単位の仕組みですが、山小屋支援、登山道の整備は共通の課題です。B級グルメのような緩やかな連携することで地域全体、日本の山全体が盛り上がって欲しいです。

登山に行くときには、カードを数枚財布に入れていく。登山道の整備にも貢献して、ちょっとした記念品ももらえる、というのは気分がいいものです。