FF7Rとピギー・スニードを救う話

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初代プレイステーションとFF7(ファイナル・ファンタジー・7)が発売されたとき、大学受験の真っ最中でした。

試験日程がすべて終わり、その帰りがけの新宿南口ソフマップでプレイステーションとFF7を同時に買って帰ったことをよく覚えています。受験の結果はまだ出ていませんでしたが、すべての受験日程が終わって、開放された気分になっていました。

それから20年が経って、発売されたFF7R(ファイナル・ファンタジー・7・リメイク)を再びプレイしました。こういうゲームをするには年を取りすぎたのかもしれません。楽しくプレイした一方、ちょっと面倒臭いなと感じることもありました。

FF7はストーリーの途中で何人かが命を落とします。まあ、敵を散々殺しているという見解もありますが、戦闘画面とは別のところで命を落とす描写があります。そのうち、何人かがFF7Rでは助かったという描写がありました。その時にピギー・スニードを救う話を思い出しました。

ピギー・スニードを救う話は、ジョン・アーヴィングの短編です。

高校の同級生が久しぶりに故郷に帰ってきて、バーで酒を吞みながら話をしています。その中で、同級生だったピギー・スニードが死んだという話が出てきます。ピギー・スニードは少し発達障害のようなところがあり、高校では馬鹿にされていました。高校を卒業した後、実家の養豚場で働いていましたが、養豚場が火事になってしまい、それに巻き込まれて死んだというのです。バーに集まった同級生達は、ピギー・スニードを遠巻きに見ているだけで直接いじめていたわけではありません。久しぶりの再開で馬鹿話をしていたのが嘘のように、その場は静まり返ります。

沈黙を破って、一人が言います。「いや、俺が聞いた話と違うな。」ピギー・スニードは養豚場に保険を掛けていて、保険金をたっぷりもらってマイアミで悠々自適に暮らしているらしい。また、別の誰かが言います。「その話には続きがあるらしい。」バーに集まった同級生は次々にピギー・スニードがうまくやって、幸せに暮らしているという作り話を続けていきます。記憶違いがあるかもしれませんが、大枠はそんな話です。

翻訳を担当した村上春樹は後書きでバーに集まった同級生達の作り話を指して、「これこそ小説家の仕事。」と書いています。

FF7Rでは、クラウドやエアリスが人生をループしていると言われていますが、もちろん、ループしているのは彼らではなく、我々です。我々は彼らがこれから辿っていく物語を既に知っています。それはちょうど、ピギー・スニードが豚と一緒に焼け死んだことのようです。みんな知っています。そして、スクエアエニックスは新しい物語を始めました。「いや俺が聞いた話と違うな。」と言って。

FF7は20年も前に作られて完成しています。それがピギースニードの身に実際に起こった火事であり、20年経って新しい話を作り直す開発スタッフはバーに集まった同級生のように感じます。

そのため、FF7Rの続編では、生きようという意思を持っている人は誰も死なない。そんな風に思っています。そうであるといいなと思っています。